Gavin DeGraw / Gavin DeGraw
ギャヴィン・デグロウの2nd“Gavin DeGraw”がついにリリースされた(国内盤は5月21日)。スタイルは1stでほとんど完成されていた。若さや新鮮さをまとったデビューアルバムらしい未熟さはすでになかった。だから、2ndに期待したのは成長というよりも成熟だ。期待は裏切られない。ソウルフルでエモーショナルなヴォーカルが胸を熱くする。まだ数日聴いただけで、曲たちが深くまで浸透するまでには到っていない。ただ、ぼくのiPodはいまこのアルバムとラカンターズの2ndを行き来してばかりいる。ぼくにとって今年の上半期は、これだけで十分に豊作だ。
2004年リリースの1stに比べると、少しギター寄りのロックになっている。ややHR寄りのアプローチといい換えてもいい。プロデューサーの個性が出たのかもしれない。今作のプロデューサー、ハワード・ベンソンといえば、ゼブラヘッドやフーバスタンク、モーターヘッド、マイ・ケミカル・ロマンスなんかとの仕事で有名だ。ロック界のヒットメーカーといっていい。作りすぎるなんていうのはヒットメーカーにありがちな非難だろう。もちろんギャヴィンのナチュラルな魅力をプロダクションで台無しにするような野暮はしない。そのあたりはさすがに心得ている。
ギャヴィンはそもそもピアノマンとしての資質が根底にある。ハワード・ベンソンとの組み合わせでメイレイみたいな甘い美メロを聞かせるプロダクションになるのかと少し思ったりもしたけれど、全然違った。ポップなメロを厚い音で聴かせる最近流行りのエモ系でもない。そうした流行りモノとは一線を画している。たとえば前作の‘I Don't Want To Be’のような力強く訴えかけてくるロックナンバーをしっかりと聴かせてくれる。ミディアムな曲にもイージーな感傷ではない訴えかけてくるような詩情がある。時間をかけて作りこまれた12曲に穴はない。
待った甲斐は十分にあった。
posted in 08.05.15 Thu
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