The Raconteurs / Consolers Of The Lonely

The Raconteurs / Consolers Of The Lonelyロックを好きになると結局はLed Zeppelinを聴くことになる。

どこから入るかはあまり問題じゃない。荒削りなパワーに溢れた1stが最高だという人もいれば、‘Whole Lotta Love’を擁する2ndだという人もいる。3rdの‘Immigrant Song’で脳天をカチ割られたという先達の気持ちも解る。そして、4thの‘Stairway To Heaven’を聴かないロックファンはいない。これはもう、世代を超えてそうなる。この呪縛は簡単には打ち破られない。けれども、ぼくがこれから語ろうとするのは、ドラムスを喪って解散した伝説のバンドの話ではない。今、現在進行形でその呪縛を打ち破ろうとしているJack Whiteの話である。

Jack WhiteとMeg WhiteによるロックデュオWhite Stripesはガレージロック・リバイバルの担い手としてThe Strokesなんかとひと括りに語られることが多い。個人的には5thアルバム“Get Behind Me Satan”でJackは化けたと思っている。まず気紛れに買ったこのアルバムが耳について離れなくなった。すぐにそれ以前のアルバムも買い集めた。けれども、5thは明らかに違っていた。ガレージロックやブルーズに源流を持ちながら、明らかに雑食性のめくるめく音世界の広がりを見せている。洗練に向かったThe Strokesとは好対照な進化といってもいい。

そしてトドメの6th“Icky Thump”である。いうことは何もなかった。今、ロックを聴くならこのアルバムをおいて他にない。あり得ない。既に、ガレージだのなんだのといったスケールの音ではないと思った。これをオルタナティブと呼ぶなら、ロックの本流とは何だといいたくなる。クラシック・ロックの正嫡であり、確実に力強く進化した今のロックがそこには満ち満ちていた。そのWhite StripesのJackがデトロイト時代の友人ミュージシャンらと始めたのが、The Raconteursである。White Stripesとは別プロジェクトで、短期の企画モノではない。

実は彼らの1st“Broken Boy Soldiers”は一度HMVでさらっと試聴しただけでスルーしてしまっていた。つまらなかったわけではない。ただ“Icky Thump”でぼくの耳が満足し切っていたというのが大きい。ところが、ついこの間出た2nd“Consolers Of The Lonely”でそうもいっていられなくなった。明らかにJackのワンマンバンドWhite Stripesとは違った厚みを獲得しつつある。ツマミ聴きした1stはまだ大人しい印象だった。読みが甘かった。2ndを試聴した瞬間に1stと合わせてレジに向かっていた。もう今年はこれで退屈する心配がなくなった。

さあ、The Raconteursのツアーが始まっている。来日の知らせはまだない。

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