デトロイト・メタル・シティ トリビュートアルバム“生贄メタルMIX”

デトロイト・メタル・シティ トリビュートアルバム“生贄メタルMIX”ノリで買おうかとAmanzonで調べてみた。

ああ、これは地雷にしても低品質な気がする。ラジオでYUKIの‘JOY - METAL JOY REMIX -’を聴いたときから怪訝しいとは思っていた。そもそもメタルギャグマンガへの供物という不必要なまでに馬鹿げた企画である。というより、メタルというジャンル自体が我が国においてはネタなんだといってもいい。HR/HMファンから総スカンをもって迎えられた聖飢魔IIや、最初期の暴れるバラエティタレントX(後のX JAPAN)のようなものこそが、日本大衆に認知されたメタルの姿なのだから。以来、ヘヴィメタは蔑称と化した歴史もある。期待する方がどうかしている。

誤解のないように書いておくけれど、ぼくはメタルが嫌いなわけじゃない。むしろ、好きな方かもしれない。体を鍛えたり髪を伸ばしたりはしていないけれど、Black SabbathMetallicaはいくらかCDも持っているし、Manowarなんて本気かネタが判別不能なバンドも聴く。ネタはネタで一向に構わない。Ozzy Osbourneというのは一個のメタル・アイコンであると同時に、永遠のネタキャラでもあろう。だからクダラナイという価値観を認めるにやぶさかではないけれど、そもそも意義深い娯楽というものを認めていないぼくには、どうでもいいことである。

だから、メタルというある種の形式で遊ぶなら、きちんと遊び倒して欲しいと思う。それがぼくのささやかな希いである。形式の破壊だって意識的かつ効果的にやるなら立派な遊びである。昔、綾辻行人が本格推理小説に叙述トリックを解禁したように、形式の破壊者は必ずしもジャンルの破壊者になるわけではない。むしろ、ジャンルの可能性を広げることもある。メタルという漠然とした音楽形式は様々に細分化されてきた。およそ、メタルとは何かという問いに答えるのが困難な程に多様化している。その道程にはLAメタルなどという私生児も生まれ落ちた。

けれども、ネタとしてメタルのトリビュート企画をやるなら、マンガの主役が標榜するデスメタルをはじめ、クラシックメタルやスラッシュメタルといったゴリゴリの暗黒メタル路線を、本気で遊び尽くすべきだろう。片手間で金を稼ぐような安直な企画ではまったく「濡れない」。既存のボーカルトラックにメタルミックスなオケを適当にのっけましたではどうにもならない。多少期待できそうなのはElectric Eel ShockWAGDUG FUTURISTIC UNITYあたりだけれども、これではネタ含有量が少なすぎる。ほとんどJ-POPの香りしかしないと思うのはぼくだけだろうか。

面白そうなのに中身のない企画に思え、結局購入ボタンを押すには到らなかった。

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